2008年08月26日

少量のレスベラトロールが乳がんを防ぐ

ネブラスカ大学がん研究所教授のエリーナー・ローガン博士(Eleanor G. Rogan)が主筆を勤めた研究「少量のレスベラトロールが乳がんを防ぐ」が、2008年7月8日に出版されたアメリカがん研究協会のがん予防研究誌7月号に掲載されました(Cancer Prevention Research)。
博士らは「レスベラトロールはエストロゲン遺伝子のがん細胞転化を阻害し、癌生成過程の第一段階を予防する能力を持つ」「この作用は乳がんの全てのプログレッション(がん細胞の増殖)を防ぐだろうと考えている」と述べています。

博士らの研究では乳がんになる細胞機能に、レスベラトロールがどのように作用するか、その効果を測定しています。
乳がんの形成は患者の遺伝子の相違や異なった要因などによって、複雑な段階を経ます。しかしながら多くの乳がんのエネルギーがエストロゲンの増加であることは科学者たちに異論がありません。エストロゲンは遺伝子細胞の転化形成に反応し、それを集約させますが、博士らはレスベラトロールにこの転化形成を抑制する作用があることを発見しました。

特筆すべきは本当に僅かな量のレスベラトロールが、細胞内でのエストロゲン転化作用を防ぐことができることです。実験ではリットル辺り100マイクロ・モル(µmol/L )までのレスベラトロール を投与しましたが、10マイクロ・モル(µmol/L)で がん転化を防ぐことが判りました。これは赤ワインをグラス一杯飲む量です。グラス一杯には通常9から28マイクロ・モルのレスベラトロールが含まれます。(注.産地、製造方法、保存方法、経年によりレスベラトロールが0に近い赤ワインも多数あります)

この実験では、レスベラトロールが乳がん発現のリスクファクターとして知られる二つの物質、チトクローム酵素(CYP1B1)と猛毒ダイオキシンのテトラクロルジベンゾ-p-ジオキシン(Tetrachlorodibenzo-p-dioxin)を抑制することも発見されています。

この働きは、以前ご紹介したとおり、同様な報告を個性労働省の研究班が行っています。

赤ワイン成分レスベラトロールにダイオキシン抑制効果 厚労省研究班

この働きはレスベラトロールにエストロゲンを不活性化させるキノン・リダクターゼ(quinone reductase)を導入する作用があることを意味します。エストロゲンを不活性化させることによりそれに伴う癌発現リスクを減らすわけです。キノン・リダクターゼ(レダクターゼ)は物質代謝を促進する酸化還元酵素の一つでエネルギー産生にも関与します。
博士らは今後もこの研究を進展させ、人間に適用した研究に進めていくと述べています。

参考文献:
Fang Lu, Muhammad Zahid, Cheng Wang, Muhammad Saeed, Ercole L. Cavalieri, and Eleanor G. Rogan. Resveratrol Prevents Estrogen-DNA Adduct Formation and Neoplastic Transformation in MCF-10F Cells. Cancer Prev Res 2008 1: 135-145.

Zahid M, Gaikwad NW, Ali MF, Lu F, Saeed M, Yang L, Rogan EG, Cavalieri EL. Prevention of estrogen-DNA adduct formation in MCF-10F cells by resveratrol. Free Radic Biol Med. 2008 45(2):136-45.

用語説明:
CYP1B1は酵素の一つで、チトクロームP450(Cytochrome P450)の分子種です。チトクロームP450は肝細胞に蓄積されて脂溶性物質を解毒する多数の酵素群の総称でCYPと略されています。解毒という善の作用を持つ反面、様々な悪の作用を持ちます。
CYP1B1はダイオキシンのひとつであるTCDDに誘導されることが知られており、乳がんのみならず、悪性腫瘍、ガンの誘導物質としてマークされています。CYP1B1はエストロゲンを代謝する内在性基質を持つといわれ、エストロゲンが関係する癌発現に、特に深く関わります。CYP1B活性化の大小には人の持つ遺伝子が関係するという研究があり、同条件下でもがん発現には個人差があるようです。

ちなみに、英国のゲイリーポッター教授は、レスベラトロールがCYP1B1によって代謝されると、「ピセアタンノール」という、ガン細胞を死滅させる物質に変化させることが試験管実験で明らかにしています。
ピセアタンノールが滞留した部位では、健全な細胞は全く無傷のまま何とがん細胞のみが死滅するという結果が示されています。

レスベラトロールの抗ガン(癌)作用とそのメカニズム

こういったメカニズムも含め、レスベラトロールはがん予防に働いているものと思われます。
これらの報告をまとめていると、老若男女を問わず、レスベラトロールを摂取した方が良いことがよく理解できます。レスベラトロールを少量づつでも摂取し続けたいものですね。



kenko_wine at 11:00│Comments(2)TrackBack(4)この記事をクリップ!レスベラトロール | 健康

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1. Posted by マッサージ   2009年05月28日 22:05
マッサージ
2. Posted by buginnose   2009年08月27日 11:35
5
素敵な記事でした。
我がブログにTBを貼って欲しいと思います。宜しくお願い申し上げます。

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